手帳に小さな文字で予定が書かれていて、それが埋まってれば埋まってるほど僕は羨ましくなってしまう。
「あ、この人はやることがたくさんあるんだ」って。
それに比べて僕の手帳はどうだ。手帳のマス目はたまに埋まっているけど、ほとんど空欄ばかり。なんかこう、空欄の手帳って暇を象徴しているような気がして、少しだけつらくなる。
なんでそう思うかというと、手帳に予定が埋まっているということは、何日後・何十日後のその時間がすでに予約されているわけで、絶対にその時間を持て余すことが許されないからだ。
手帳に記された先の予定は、「自分はその日その時間に絶対これをやる！」という強い決意表明のようなものを感じる。
だから、手帳にびっしりと予定が埋まっている人を見ると、時間を無駄にしないでその日を生きているのかな？と勝手にイメージしてしまうのだ。
そこである時、「自分って本当に暇人なのか？」とゆっくり考えてみることにした。
そしたら、時々友達に会うし、コーヒーを飲みに行くし、花も買ってるし、本を買いに出かけてるしというわけで、意外と僕も外に出て何かをしていることが分かった。
気づいたのは、手帳にびっしりと予定が詰まるわけではないけれど、ポツポツと埋まるくらいではあると。
そこまでたくさんの予定がないから、別に手帳に書くほどでもなく、頭の中で記憶していれば事足りる毎日を送っているということに。
その事実に気づいた時、無理に他人と比べる必要はなくて、自分のペースで暮らそうと決めた。
決めたけれど、たくさんの文字が書かれた手帳を見ると羨ましくなってしまう。
「おい！どっちなんだ！」と突っ込まれそうだが、僕の手帳が埋まることはおそらくこれからもない。
結局、自分にちょうどいい生き方、手帳の使い方でなければ毎日は進んでいかないから。
