とある休日。彼女と車で向かったのはコーヒーショップ兼ギャラリーで、ずっとお世話になっているチャイショップのSさんのイラストを見るためだ。
Instagramの告知を見てから、久しぶりに会えるのを楽しみにしていた。そして、Sさんが作るチャイを味わえることもずっと心待ちにしていたのだ。
2人でギャラリーに入るとショップの方とSさんが迎え入れてくれた。久しぶりの再会に話も弾む。最後に会ってから何か月も経っていたので、聞きたいことや話したいことがたくさんあった。
イラストはSさんがアメリカ南部からニューメキシコなどを旅するなかで出会ったネイティブアメリカンたちの話、風景などからインスピレーションを得たそうで、どのイラストもストーリーがあってステキだった。
作ってもらったチャイを飲みながら、話は過去のことへ遡っていく。チャイショップがあった頃は僕も近くに住んでいたので、Sさん夫婦に会って話しながらチャイを飲んで過ごす時間が大好きで、よく足を運んでいた。
チャイを作り始めたきっかけの話にもなったが、Sさんが旅行でインドを訪れるまでは身近ではなかったらしい。むしろ、当時の仕事場近くにあったカフェで、1杯分だけちょこっとサボるときに頼む程度のものだったとのこと。
それがインドで本物のチャイの味、それを飲む人たちの日常に触れるなかでチャイに深くのめり込むようになったそうだ。
そんなストーリーがあったんだと思っているとSさんから「akiraくんはさ(普段は名字で呼んでくれる)、最近書いてる?」と聞かれた。
聞かれてから、最近全然書いてないことに気づいた。書く時間がなかったといえば言い訳になるけれど、書きたいと思う瞬間がほとんどなかった。書きたいと思っても、それを言葉にすることができず、頭に浮かんだいろんな言葉たちがただ浮かんでいるだけで、1つにまとまらずに遠くに飛んでいってしまっていた。
でも、今はこうして書いている。なぜならSさんと話せた時間のことを書きたいと思ったからだ。
書きたいから書く。
Sさんと会って話したことで僕は書きたいと思うことができた。次に会えるのはいつかわからないけれど、それまでまた自分のペースでいろいろ書いていきたいし、自分の言葉をつなぎとめていきたい。