家の近所にある居酒屋の軒先には、営業前や営業中にボードが置かれている。
だいたいはオススメメニューだったりするけれど、そこの居酒屋は違う。そのボードには、スタッフのお母さんと娘さんとの日々の暮らしが記されている。
初めて目にした頃は、まだ娘さんもかなり小さくて、ハイハイをしていたような気がする。
それがいつの間にか、自分の足で立って歩くようになり、自分の好みも芽生えて、あれが好きこれはイヤ!みたいな感じで、毎日が忙しそうだ。
いつもその道を通るわけではないから、見落としてしまっている日もあるだろうけれど、相当な数が書かれてきたはずだ。
お母さんの字はきれいで、少しだけ丸っこい。
関係ない第三者がするわけにはいかないのだけれど、本当はその一つひとつを写真で残しておいて、ZINEを作ってみるのもおもしろそうだなと思った。(ご本人の許可が必要だけれど)
そんな娘さんも、もうすぐ小学生くらいの年齢になっていて、時の流れの早さに驚かされる。
そんな親子の日々が記された成長日記も、これからも続くかもしれないし突然終わるかもしれない。
でも、あの居酒屋の前を通るたびに、ついついボードがないか目がいってしまう。
そして、ボードがあると立ち止まり、お母さんが書いた娘さんとの日々を読ませてもらう。
なんだかとても、つつましく微笑ましい気がして、僕はどこか救われたような気持ちになっているのは間違いない。
喫茶七色|akira