喫茶店好きなら誰しも、いつか行ってみたい「憧れの喫茶店」が1つくらいはあると思っていて、僕にとってのそれが有楽町にあるストーンでした。
2022年4月発売、雑誌&Premium(アンドプレミアム)の記念すべき100号『喫茶店、100のこと。』にストーンさんが取り上げられていて、閉店のことも知っていました。
近いからこそいつでも行けると思って先延ばしにするのは悪いクセで、いつの間にか閉店時期の10月に入っていたのに気づき、慌てて行ってきました。今日は有楽町の老舗の喫茶店「ストーン」さんに行った時のことを紹介させてください。
ストーンについて
ストーンさんは、有楽町すぐの「有楽町ビル」の1階にあり、ビルが竣工した1966年から創業し、現在まで57年の歴史を持つ喫茶店です。
初代が営んでいた石材店のショールーム的な役割を果たしていたこともあり、店内は石を豊富に使った独特な造りが特徴的です。
店内はアーチ状のような形をしており、壁に沿って埋め込まれたたくさんの石は、国会議事堂にも用いられている「御影石」というそうです。
床部分は白黒の大理石。天井はカーペットという対比もおもしろい空間になっています。
メニューについて
今回の来訪で頼んだのは、ホットコーヒーとクリームソーダ。
オリジナルの?カップ、飲みやすく後味もスッキリ。おいしいコーヒーでした。
クリームソーダは普段自分で作ることが多いですから、お店で飲むのは実は新鮮な機会なんです。
やっぱり、誰かが作ってくださったクリームソーダを味わうのは良いですね。本当においしかったです✨
テーブルに刻まれたキズを見ると、ここでどれだけ多くの時間をいろんな方が過ごしてきたのか?
そういう歴史の重さのようなものも感じられます。
ストーンで得られた気づき
ストーンさんに足を踏み入れた時、「あ、ここは音楽を流さないタイプの喫茶店で、お店のBGMはお客さんたちの声なんだ」と思ったんです。
お店の壁をグルっと囲む石壁の美しさに見とれながら、「どこへでもどうぞ」とかけられた声に従い、席に座って一息ついた時、話し声とは別の音が聞こえてくることに気づきました。
ジャズが流れていたんです。それもかなり音量を絞って。
僕が1日喫茶をする理由には、自分が好きな音楽をかけたい・聴いてもらいたいというのがあります。
だから音がしっかりと聴こえるようにしていましたが、よくよく思えば自分のことしか考えていないんですよね。
来てくださったお客さんとしては、僕が作ったクリームソーダを飲みながら、僕であったり、友人・恋人たちと話をしたいという目的があるのかもしれません。
でも、それを音楽が遮ってるのかもしれない?と思ったんです。
考えすぎかもしれませんが、音楽の役割を僕なりに考えてみると、「主張」もしくは「空間を引き立てる」という意味合いを持たせていて、僕は「空間を引き立てる」ことを重視したいと思っています。
であれば、音楽の音量は人一倍考えないといけないのかもしれません。
ストーンのスタッフさんたちが、音楽に対してどのような考えをお持ちなのかは分かりませんが、ストーンさんから僕は僕なりの考えや答えを導くことができました。
ストーンで撮らせてもらった写真たち
ストーンさんの店内で特徴的かつステキだなと思ったのが、白黒のモノトーンで置かれたイスたち。
店内は明るすぎず、むしろ気持ちほんの少しだけ明るさを抑えた印象です。路面店ではなく、ビルの中に入っているお店ですから、時間に限らず少しだけ夕暮れ時から夜のようなニュアンスもあってステキでした。
最後に
有楽町でのストーンさんは閉店しましたが、再開の計画はあるそうです。
詳しい場所や時期は決まってなく、どのような内装になるかは分からないそうですが、優しくお店に迎え入れて、送り出してくれるスタッフさんの雰囲気はまったく変わらなさそうです。
長い間本当にお疲れさまでした。
有楽町を含めて東京という街の動き、街で働く・生きる人たちにとって欠かせないお店の歴史がまたひとつ幕を下ろしました。
また伺えるその時を楽しみに、ストーンさんで過ごした短いけれど充実した時間を思い出したいと思います。