特に読書好きなら、本屋さんというのは身近な場所だろう。
僕は散歩のついでに行ったり、待ち合わせ場所にしたりしている。
買いたい本があって行くのもいいけれど、何も用事がないときに行く本屋さんがいい。
そういうときほど、思いがけない1冊に出会えることがあるから、僕の足は自然と本屋さんに向かう。
新刊が平積みにされている棚もいいけれど、書店員さんがセレクトした本が並ぶ棚や、既刊がズラッときれいに並び収められている棚を眺めるのも好きだ。
時間があるときは、普段は読まないようなジャンルの本も手に取ってみたくなる。だから、本屋さんにふらりと行くときは、その後に用事を入れないようにしている。
本屋さんに行く好きな時間帯といえば、朝の開店直後と閉店1時間前だ。
開店直後は朝の清々しい空気感とか、光が店内を明るく照らす様子がキラキラしていて、なんとも心地よい気分になれる。
閉店1時間前はいわゆる夜だが、散歩のついでに行くときは、この時間帯が多いかもしれない。
店内にいるお客さんの数も少なくなってきて、夜という時間の流れもあってか、本をゆっくりと探すことができる。
気になる本があるときは買って、明日が休みならさっき買った本が夜ふかしのお供になってくれる。
本屋さんに通うようになると、いつの間にか好きな本屋さんもいくつかできてくる。
好きな本屋さんを挙げていこうと思うけれど、自分の行動範囲の狭さに驚く。
でも、どれもステキなお店。気になる方はぜひ行ってもらいたい。
代官山 蔦屋書店
「蔦屋書店といえば代官山」という人も多いくらいの有名店で、もはや観光地化している本屋さんだ。
休日の昼間に行くとその混雑度には驚かされる。でも、開店直後や閉店間際は空いているから、ゆっくりと楽しむことができる。
3つの建物に分かれていて、それぞれ異なるジャンルの本が並び、本以外のCDや雑貨類も見られるから、(空いていれば)ずっといても飽きない場所だ。
コロナ前は朝7時~深夜2時まで営業していて、特に終電がなくなった後は、近所に住んでいるような人しかおらず、カッコよく洗練された印象の人が多くて、人間観察も楽しい時間だった。
でも、今は今でスタバもあるし、ちょっとした贅沢でシェアラウンジを利用したり、ANJINで1杯楽しんだりするのも良い時間。
HMV&BOOKS SHIBUYA
渋谷モディ(MODI)の中に入っている。以前は2フロアだったけれど、今は縮小されて1フロアになっている。
ここが穴場な理由は、何と言っても人の少なさ。良いのか悪いのかわからないけれど、渋谷で本屋といえば、スクランブル交差点にある大盛堂書店とか啓文堂書店のほうがイメージが強く、モディの中に本屋があることを知らない方も多いのではないだろうか。
それとは対照に品揃えはすごい。料理系の本もたくさんあるし、エッセイや短歌などもなかなかのラインナップ。
特にアート系、画集とかデザイン書とか写真、建築関連の本は多いので、気になる1冊が見つかるかも。
TSUTAYA 三軒茶屋店
キャロットタワーの2階にあり、コロナを経た今でも閉店は午前0時で、界隈ではわりと遅くまで開いている。
反対側にあるユニクロは、以前はTSUTAYAのレンタルに、マンガや雑貨なども販売しているような場所だった。
でも、レンタル事業は撤退しちゃったし、あれだけ充実していたマンガの品揃えも、今となっては少し寂しさを感じるくらい縮小してしまった。
とはいえ、最新作はすぐ手に入るし、工夫を凝らした本の見せ方とか、サイン本も意外と多く入荷していて、散歩のついでに見に行くのが楽しい。
twililight
三軒茶屋の茶沢通り、ビルの3階に入っているのがtwililight(トワイライライト)だ。
オープン当初は古書が多かったけれど、今は新刊のほうが多い気がする。
リトルプレス的な作品も多く、著者のサイン本も多い。個人的には一般書店に流通しにくいリトルプレスは、新たな発見や今はまだ有名でないけれど、すてきな文章を書く方の作品と出会えるチャンスなので、最近買い求める機会が増えている。
本もそうだけれど、店内ではドリンクも提供している。ハンドドリップのコーヒーやクリームソーダ、2階のお店ニコラ(Nicolas)のデザートなども味わえるのでオススメだ。
また、店内のスピーカーは奈良にあるlistudeで、どこにいても一定の音量で音楽が聴こえてくる。耳にやさしく、ゆったりとした時間を過ごせるのもtwililightならではの良さだと思う。
本屋 B&B
下北沢のボーナストラックにある本屋さんがB&Bだ。
ここの印象は、人文や詩集、リトルプレス、科学系にも強い気がする。
言葉の本に宇宙の本、一見すると関係なさそうなジャンルの本も、どこかできっとつながっているような気がして、独特のセレクトにも何かしらの意味がありそう。
実は店内ではソフトドリンク以外に、クラフトビールの提供もあるので、ビールを飲みながら本を選べるという贅沢な時間を過ごすことができる。
本が好きな方はもちろんだけれど、お酒が好きな方にもぜひ足を運んでもらいたい。
Shibuya Publishing & Booksellers
渋谷は神山町、いわゆる奥渋谷エリアにある本屋さん。個人的には、奥渋谷というイメージの象徴でもあるし、独立系書店の先駆け的な存在という認識でいる。
店内には真ん中の大きなテーブルに新刊やリトルプレスが並び、両サイドに個性的な形をした本棚には、写真集や建築、旅、料理、小説、マンガなどの作品がジャンルごとに収められている。
イベントも定期的にやっていて、僕は過去にくどうれいんさんのサイン会や、LIFEの相場正一郎さんの出版記念トークイベントに参加させてもらった。
本やマンガに加え、古着や雑貨、コムデギャルソンの香水やイソップのフレグランスなども販売していて、自分用だけでなくプレゼントを探すにもオススメだ。
ブックス ルーエ
吉祥寺のサンロード商店街にあるブックス ルーエは老舗の本屋さんだ。本を扱う営業自体は30年以上であり、前身のそば屋と喫茶店時代を合わせると、80年以上の歴史を持っている。
以前吉祥寺でアルバイトをしていた時期があり、そのときに気が向くと寄らせてもらっていた。
セレクト自体は他の大きい本屋さんと変わらない気がするけれど、あれだけ人通りが多いサンロード商店街の中で、ちょっと別軸の時間が流れている気がして心地よかった。
混みすぎず人がいなさすぎず、本を探す人と買う人のバランスがちょうどいい感じで(勝手な解釈)、バイト後に一息ついて本を探し、そのまま買い求めて井の頭線で読みながら帰ることも多かった記憶がある。
青山ブックセンター
表参道駅から歩き、国連大学の脇を抜けてエスカレーターで下りると、ビルの地下にあるのが青山ブックセンターだ。
メインは新刊だけれど、写真集や建築関連の古書なども置いてある。イベントも積極的に開催されていて、作者と間近で接するチャンスも多々用意されている。
サイン本も多く、フェアでセレクトされている本のセンスも良く、ついつい買いすぎてしまう本屋さんだ。
特に料理や旅などのライフスタイル系、哲学や写真集にも強い気がする。
青山ブックセンターのメリットとデメリットの両方といえば、「電話」での問い合わせを受け付けておらず、オンライン上での在庫検索にも対応していないことだ。
お店以外の場所で在庫がわからないからこそ、ここには出版社ではもう扱っていない本が新品のまま、棚から見つけ出してくれる人を待っている。
知っている方からすれば、「え!?この本まだあるの?メルカリだと何倍にもなってるのに……」みたいな本があり、僕自身も何度かそういう経験をしている。
古本ではなく新品として、重版予定がなく実質絶版のような本と出会える貴重な場所かもしれない。
終わりに
やっぱり僕は本屋さんが好きだ。
自分が知らなかった新たな気づきに出会えるし、好きな作者さんの作品を追いかけることもできる場所だし。
基本的に書店員さんから話しかけられることはないので、「本を探す・選ぶ」という行為を心ゆくまで楽しめる。
朝も夜もいつ行っても本が待ってくれている。
本屋さんはそういう場所。毎日行くわけではないけれど、ふとしたときに足が向かってしまう。
僕にとって本は暮らしの一部だから、これからも本屋さんに行くのをやめられないんだと思う。
喫茶七色|akira