家から歩いて15分ほどの場所に、お店と住居が一緒になった不思議な空間がある。本屋さんやカフェ、雑貨屋さんなどが集まっており、どれも小さいけれどそれでいて素敵な雰囲気をまとったお店ばかりが揃っている。
本屋さんで気になった一冊を買い、そのままカフェに足を運んで読むことにした。カフェにやって来るお客さんの中には、お店の上にある住居に住んでいる方もいる。
朝起きて身支度もそこそこに、挨拶をしながらすぐにおいしいコーヒーを飲める環境がうらやましい。
コーヒーを飲みながらお店のスタッフさんと話しているうちに、何人かお客さんがやって来た。その中にはさっきの本屋の店主もいて、共通の言葉があることに気づいた。それが「良い一日を」と言って、コーヒー片手にお店を後にしているのだ。
素直に素敵な言葉だなと思った。
言っても言わなくてもいいけれど、相手を思う気持ちがそこにあることに美しいなぁと心がジーンとした。
話はそれるが、昔通っていた喫茶店のママさんも、僕や他のお客さんが来るたびに「おかえりなさい」と迎えてくれて、お店を出ていくときには「行ってらっしゃい」と一人ひとりに声をかけていた。
それと似ているような気がして、最近そのような場面が少なかった僕にしたら、忘れかけていた何かを思い出させてくれるようだった。
大げさである必要もわざとらしい必要もないけれど、さり気なく相手を思う言葉を伝えられるようになったら、自分の心が豊かになるような気がした。
喫茶七色|akira