いつもの花屋に足を運んで季節の花を買い求め、茎を適当な長さに切り、1つしか持っていない花瓶に水を満たして花を生ける。
この習慣がルーティーンのようになってから、「花のある暮らし」というのが日常になりました。
でも元から花好きであったわけではありません。ある約束を思い出して花を買うようになってから、花好きになったんです。今日はそんな話です。
就職を機に東京へ上京したのが5年前。憧れ?だった東京での生活は充実していた反面、人の多さや朝の満員電車、会社と家の往復ばかりで疲れを感じていました。
最寄り駅の改札を出た時、すぐ近くにある花屋さんが目に止まりました。普段は素通りしていたのに、その日はなぜか強烈に惹きつけられたんです。お店の前に来たのはいいけれど、どの花を選べばいいかわかりません。当然です。今まで自分のために花を買うなんてしたことがないのですから。
帰ろうかなと思い始めていた矢先、僕は母とのある話を思い出しました。
「一人暮らしをするなら花を飾りなさい」
当時高校を卒業して、大学のために実家を離れる前、母はこう言いました。当時の僕は言ってる意味が良くわからず、そんな話があったことを忘れたまま学生生活を過ごしていましたが、今になって急に思い出したんです。この話には続きがあります。
「都会の暮らしは自然が少ないし、周りに流されやすくもなる。だから生きている花を部屋に飾りなさい。花が部屋を彩るし、見ているだけでも気持ちが落ち着くよ」と。
思えば実家の庭にはいくつもの花が咲き誇り、家の中にも至る所に花瓶があり、花が生けられていました。
母の言葉を思い出した僕は花屋さんに入り、店員さんと話しながら季節の花を一輪買い求めました。
花を買ったのはいいけれど、家に花瓶がないことに気づき、仕方なくペットボトルに水を入れて生けました。
部屋の片隅に置いてみると、花があるだけでそれまで殺風景な部屋に彩りが生まれて、不思議と落ち着くことができました。
「あ…母の言いたかったことはこうなんだ。本当だったんだ」と思いながら、僕は花という存在に段々惹かれていったのです。
それからというものの、お気に入りの花瓶を手に入れて、花を買い求める日々が続くうちに、花の名前を覚えたり、好きな花ができたりしました。
今は別の街に引っ越しましたが、新たに見つけた好きな花屋さんに通っています。
店員さんと話をしながら、季節の花や好きな花を選ぶ時間は楽しいものです。
松浦弥太郎さんの『日々の100』という本には、花について書かれたページがあります。
花は僕の友だちなのだ。
松浦弥太郎『日々の100』
なんてステキな言葉なんでしょう。
本当にそう思います。
花は僕にとっても友だちであり、毎日の暮らしを支えてくれるパートナー的存在でもあります。
花のある暮らし。本当におすすめです。花瓶がなくても気軽に飾れますし、季節を身近に感じられる暮らしを手に入れられますよ✨
喫茶七色|akira