平日の朝10時ごろになると、近所の公園には保育園たちの園児たちが保育士さんたちと来て、たのしく遊んでいる姿を目にすることがある。
最近はこういうことがあった。
買い物帰り、とある公園にさしかかった時、前から保育士さんと園児たちが歩いてきた。すでに遊んだ後で園に向かって帰る様子。
手を取り合って歩いている園児もいるけれど、保育士さんが押す大きい台車の中にいる園児の様子が気になった。
2歳くらいの子なのかなぁ。
その子はなぜか手を振っていて、視線の先にはおじさんがいる。
おじさんはキャップを被り、スクエアの黒縁メガネに青系のチェックシャツにチノパンという、なかなか粋なカッコよさのある装い。
そのおじさんも園児に向かって笑顔で手を振っている。
その二人の間で取り交わされているふとしたコミュニケーションに、僕は思わず目が釘付けになった。
無邪気に手を振る園児の健気なかわいさもだけれど、それに笑顔で応えているおじさんもステキだと思ったからだ。
僕がその光景を見てからそこを通り過ぎるまでの数秒間、その光景はなぜかとても美しいものを感じた。
急に涙が出そうになるくらい、ふとした日常の一コマに胸がいっぱいになることがある。
すごく満ち足りた気持ちになりながら、僕は家に帰った。
「小さなしあわせをありがとう」。