僕は人から話しかけられやすいタイプだ。
歩いているときやお店にいるときに、知らない人が近くに来たと思ったら「すいません、◯◯って〇〇ですか?」みたいに聞かれることが多い。
わかることは答えて、その方を送り出した後は、きまって「190cm近くあるような大男によく聞くなぁ」なんて思ったりしている。
街なかだってお店の中だって人はたくさんいるのに、その中でなぜ自分を?という感じだ。
別に僕がニコニコしているわけでもなく、ほかの人みたいに忙しそうにせずにぼーっとしているから、「多分コイツから聞けそうだな」くらいに思われているのだろう。
でも、困っている人から話かけられるということは、少なからず僕を頼ってくれているわけだ。
もしも悩みを解決できたのだとしたら、お役に立てて良かったなぁと自分を褒めたくなる。
でも、声をかけられる側は注意が必要だ。
声をかけてくる人のすべてが何か困りごとがあるわけでなく、勧誘のように裏を持っていることもあるからだ。
最近は本屋で立ち読みをしていると、30代後半くらいの女性が近づいてきて「今から時間ありますか?」と僕に声をかけてきた。
「えっ、これが逆ナンってやつ?」と一瞬思ったけれど、冷静に考えて怪しいので「いや、今は……」と言いかけて、彼女は「一緒にシールを買ってほしいんです!」と答えた。おそらく断られるのだと思ったのだろう。
でも、その答えで僕の頭の中はますます「???」となった。
聞くとボンボンドロップシールという物があり、それは1人1個のため、2個買いたいから2人として一緒にレジに並んでほしいという話だった。
その方が純粋に欲しいのか転売したいのかはしらないが、何かルール違反に加担するような感じがして断ろうと思ったけれど、結局彼女は別の誰かに声をかけるだろうし、すぐ終わるだろうから「じゃあいいですよ」と答えると、彼女は喜んでもう1個取ってきますとシールが並んでいるであろう棚のほうへ消えていった。
そうしてすぐ戻ってきて、彼女と僕で1個ずつシールを持って一緒にレジへと向かう。
お会計は一緒でと彼女は2個分のシールの代金を支払った。店員さんは特に怪しむこともなく、淡々とレジを打っていた。
じゃあとその場で別れるのは不自然極まりないので、一応一緒に本屋の外に出る。
自動ドアが開いたところで彼女は振り向き、「ありがとうございました!」と言ってそそくさとどこかに行ってしまった。
人の役に立てた?ことは良かったなぁと思いつつ、困ってしまったのは僕自身である。
なぜなら、もう一度店内に入りにくくなってしまったからだ。
今二人で会計をしたばかりなのに、一人だけ戻ってきてまた立ち読みを始めると、店員さんから怪しまれるかもしれない。
そう思うと入れず、おもしろい本を見つけたけれど買うのを諦めた。
そうしてしばらくすると本のタイトルを思い出せなくなってしまい、あれは何という本だったのだろうと1人頭を悩ませている。
喫茶七色|akira