「1Kからはじまる喫茶店」という喫茶七色のキーフレーズ。この言葉を気に入ってくださる方も多く、僕も嬉しい限りです。
この言葉はコロナ禍で喫茶七色という架空の喫茶店を開店し、Instagramのアカウントを作る際に生まれました。
僕が暮らす1Kの小さな部屋で、クリームソーダをはじめ、ときにはナポリタンやフレンチトーストなども作ります。そうしてしばらく、今もInstagramでの投稿がメインですが、飲食店を間借りして、リアルイベントの1日喫茶を開催するようにもなりました。
でも、原点は変わらず1Kの部屋なんです。普段は1人だからか表現の幅には限界があり、なかなか普段の開店の様子をお届けできないままでいました。
今回、友人のTakadue(@takadue)が協力してくれて、1Kからはじまる喫茶店を撮影してもらいました。
喫茶七色の開店です。どうぞお楽しみください。
暁のクリームソーダ
宵闇のクリームソーダの対となる「暁のクリームソーダ」。
夜が明け、朝を迎えるまでの間、刻々と変わる空のグラデーションをグラスに注いでいます。
使うのは2色のシロップ。ソーダと合わせたら、グラスに静かに注いでいきます。
とにかく焦らず、静かにゆっくりと。ていねいに注ぎ入れると、ソーダは自然と分かれていき、きれいなグラデーションが作られていきます。
ソーダを注ぎ終えたらアイスクリームを乗せ、ホイップクリームとさくらんぼを添えて完成です。
暁のクリームソーダができあがりました。
淡い色合いに加えて、ソーダのやさしい甘みと泡がパチパチと弾ける様子は、穏やかで爽やかな朝を思わせるかのようです。
ただただ、静かに清らかに。
まだ喫茶七色でも登場したばかりのメニューですが、お客さまからも好評の声をいただいております。
ぜひお召し上がりください。
クリームソーダ・デュオ 翠×深海
喫茶七色といえばクリームソーダ・デュオ。50年以上前に作られていた特別なグラスで味わう2色のクリームソーダ。
8色から2色を選べることもあり、お客さまはメニューとにらめっこしながら、お気に入りの色を選ぶ方が多いです。
最近の人気は、翠×深海の組み合わせ。
キウイ風味のエメラルドグリーンの翠に、深海は海の奥底の深い青をイメージしています。
友人Takadueの撮影技術も本当にすごいです。ビーカーに注ぎ入れるシロップが線のように落ちていく一瞬も完璧に写し出してくれました。
翠も深海も2色のシロップを使っているので、しっかりと混ぜ合わせることが色の美しさを引き出すポイントなんです。
シロップとソーダが混ざり合うと、色も見えやすくなります。
氷を満たしたグラスにソーダを注ぎましょう。こちらも静かにゆっくりと。クリームソーダのきほんですね。
ビーカーに当たる光の角度で、ソーダはいろんな色を見せてくれます。でも、グラスに注ぎ入れると、そこに広がるのは深海の深い青。
ホイップクリームとさくらんぼを添えて、クリームソーダ・デュオ 翠×深海の完成です。
緑と青の中間となるエメラルドグリーンと深海の青。同じ青系統のソーダですが、色の対比がいつ見ても美しいなと思っています。
アイスがソーダに溶け出し、静かに混ざり合っていく様子は、深海で起こる「マリンスノー」と呼ばれる現象を思い浮かばせるかのようです。
通称「海に降る雪」といわれるマリンスノーは、上から下へと沈んでいくそうで、それはグラスの中に溶け出したアイスクリームと同じようだなと思いました。
簡単に行くことはできない、深い深い海の底。そんな深海の様子も、クリームソーダならグラスの中で表現できるような気がします。
終わりに
小さな部屋の中で、ひっそりと気まぐれに開店する喫茶七色ですが、Takadueの協力もあり、とてもすてきな時間になりました。
1杯のクリームソーダはこうして生まれています。
静かにゆっくりと。これからもきほんを忘れることなく、ていねいに1杯のクリームソーダを皆さんにお届けしていきたいと思います。
P.S.
最高の写真と時間を演出してくれたTakadueも本当にありがとう!
Photo by: Takadue
Equipment: LUMIX S5 × Sigma 85mm f1.4