朝会社に向かう道すがら、道路の端に置かれた小さなダンボールが目に止まりました。
中を見るとたくさんの緑色や黄色の柑橘が入っていて、手書きで「お家でとれたユズです。ご自由にどうぞ」と書かれています。
塀越しに見える木には、ゆずの実がたくさんついているけれど、どれもまだ小さく、緑色の様子はカボスのような見た目。
ダンボールに入っているゆずは、少し熟しているものを選んでくださったようです。
僕はそのなかから2つばかり取り上げて、鼻に近づけてみました。でも、思っているようなゆずの香りがしません。
まだ木から外してすぐなのでしょう。皮も身も固くて、しっかりと熟成させる必要があるようです。
そういえば、ゆずは香り高さや料理を仕上げるエッセンスとして、最近は国内はもとより海外、特にヨーロッパのシェフから注目を集めているんだとか。
また、ゆずの果汁やエキスをふんだんに使った日本酒をベースにした果実酒みたいに、ゆずの加工品も訪日客から人気のようです。
そういう事実を知っていて、今目の前にあるゆずを見ていると、日本人で良かったこともあるんだなと再発見できる気がします。
日本人が慣れ親しんできた味は、当たり前すぎてありがたみをすっかり忘れてしまいがちですが、ふとした瞬間に良さを感じることができます。
季節のおすそ分けに感謝しながら、自分のポケットにゆずをしまい込みました。
ゆずの皮を細く刻んで、イカと里芋の煮物にまぶすのも良いな、それとも大根の漬物と混ぜようかな。
そんなことを考える時間も暮らしの楽しみ。