年内の仕事を終え、なんとか買えた新幹線の指定席の切符を見ながら、久しぶりに実家に帰れるのを楽しみにしていた。
荷物をカバンに詰めて、あとは寝るだけなのにどうも眠れない。
結局寝不足のまま朝を迎えて東京駅へ。まだ朝の7時過ぎだからか駅の中もそこまで混雑しておらず、列をなしているのは土産物店くらいだった。
家族から頼まれていた土産を購入してからホームへ向かうと、自分と同じ車両に乗り込む人たちで既にいっぱいの様子。
自分の指定席を見つけて座り少し経つと、新幹線はゆっくりと動き出す。
東京から出発する北陸新幹線で窓側のE席を取りたくなるのは、大宮の近くから富士山をしばらく眺められるから。
景色を眺めたり、本を読んだりするうちに眠くなり、次に気がつくと新幹線は長野駅へ。
長野にも雪はまったくなく、本当に冬なのか?と思いながら、新幹線はトンネルに入り、抜けるとそこには雪景色が広がっていた。
車内の電光掲示板には、飯山駅を通過したことが記されていて、あとから調べるとスキー場も近い場所らしい。
そして、新幹線は新潟の糸魚川に出て、日本海を西へと下って富山へと進んで行く。
富山の冬は本当に天気が悪く、曇り・雨・雪の日が3~4か月近く続く場所で、晴れの日が本当に少ない。
でも、今日は雲の隙間から太陽の光が差し込んでいて、それがスポットライトのように地面を照らしている。
この現象を用語では、薄明光線・光芒というらしいけれど、僕は「天使のはしご」「天使の階段」という呼び方が好きだ。
そうしているうちに富山に着き、久しぶりの実家の時間を過ごしている。
富山の冬も決して天気が悪いだけじゃなく、朝から気持ちの良い青空が広がる日もあって、家の外を出れば立山連峰の雄大な景色が広がっている。
1日を通して晴れが続くと、夕暮れ時も美しい空模様を眺められる。
東京で眺める空と、富山で眺める空の色合いは、どこか違うような気がして。
日本海側は太平洋側に比べると空気が冷たいとか、チリが少ないとか、そういう理屈もあるんだろうけど、それ以上に自分が帰ってこれる場所の空、思春期を過ごしてきた空に対する懐かしさが年々募っていく。
東京はどうしてもビルも多いし、家だらけだからか、目に映る景色を空だけにするというのは難しい。
でも、実家に帰ってくると美しい空を眺められる。
空を見て自分と同じような気持ちを抱いている人がいるかはわからないけれど、久しぶりに帰ってきた富山の空は本当に美しいのでした。
東京に戻るまでに、また晴れる日があるかは分からないけれど、また見られたら嬉しいと思える1日でした。
2023年は皆様ありがとうございました。
ぜひ2024年もよろしくお願いします。
喫茶七色|akira