朝の駅まで向かう道すがら、あるマンションの前に高齢のご夫婦がいて、お掃除をしていた。何度か見かけたことがある。たしか、このマンションのオーナーさんだ。
そして、住人の男性もたまたま出てきたところで、ご夫婦と挨拶を交わしていた。
「おはようございます」「いってらっしゃい」
このやり取りが好きだから、僕は大家さんが近くに住んでいる物件が好きだ。
今も暮らしているアパートの隣には大家さんご夫婦が暮らしている。
「おはよう」「いってらっしゃい」「こんにちは」「ただいま」「こんばんは」「おやすみなさい」みたいに、大家さんと会ったときは挨拶をして、ちょっと会話が弾むときもある。
やっぱり、東京で一人暮らしをしていると、自分から作っていかないと、コミュニケーションの機会は減ってしまうような気がする。
でも、大家さんが近くにいることで、自然と会話が生まれる機会に恵まれている。
ある日、大家さんに言われたことがある。
「ここの家賃が安いのはね、若い子たちを応援したいからなの」
ここに住んでもう約6年が経つ。今暮らしている街が好きなのもあるけれど、やっぱり大家さんが近くにいるからこそ、安心して暮らすことができていると思っているからかもしれない。
喫茶七色|akira